【NEWS!!】秋田県内の各市町村議会に「あきたこまち」の生産継続を県知事に要求する「陳情」

秋田県内の生産者有志らでつくる市民団体「『あきたこまちR』をみんなで考える会」が従来のあきたこまちの生産継続を求めて、県内の25市町村議会に県計画の見直しを求める意見書を提出するよう陳情し、うち7議会で採択されました。
同会代表の田口代表は、従来のあきたこまちの生産を続けたい農家の権利と、そして消費者の選ぶ権利を守るため、県計画の見直しを訴えました。

記者会見に参加した、秋田県の後藤純子さんがレポートしてくれました。


秋田県内の各市町村議会に「あきたこまち」の生産継続を県知事に要求する「陳情」
採択7議会が「全面切替えを見直せ」の意見書を支持

                   報告  後藤純子(秋田県在住)      


 記者会見で「陳情」採択結果を報告
 秋田県と聞いて、どんなところか具体的にわからない人が多いのではないでしょうか。「もの言わぬ県」というイメージがあり、何が起こっているのか外から見えにくいかもしれません。そのようななか、「ものを言える秋田県人」である米農家・田口則芳さんは、「『あきたこまちR』をみんなで考える会」の代表として、このたび、県内各市町村の3月議会(2024年3月)に対して、「陳情」(地方自治法第99条にもとづく)*という手段を使い、秋田県知事に意見書を提出するよう訴え、その結果をもって記者会見を開かれましたので、聞きに行ってきました。その様子をレポートします。


 意見書の「項目」は、県が計画する「あきたこまちR」への全面切替え方式を見直し、「あきたこまち」の生産を継続できるように県知事に意見書を提出すること。その趣旨の要点は次のようなものです。
 ①重イオンビーム(放射線)による品種開発に対しては評価が分かれている。
 ②県議会が行ったパブリックコメント(2023年7月20日~8月21日)には、「どのような影響を及ぼすのか不安」「従来の『あきたこまち』を食べたい」「選択できるようにすべきだ」といった懸念や不安が多く寄せられた。一方、カドミウム対策を求める声もある。
 ③「県内全域で」、「全面的に切り替える」、「種もみを他県から購入しなければならない」ことは、「あきたこまち」を生産しつづけたい農家にとって加重の負担を増やすことになり、農家の選択を閉ざす。
 ④「あきたこまちR」を「あきたこまち」と表示して販売することで両者の区別がつかなくなり、不安を感じる消費者が買い控えることも考えられ、そうなれば秋田県産米の全体の需要に悪影響を与えることになりかねない。米生産のあり方は、秋田県にとって地域経済や住民生活にとって死活的な問題である。

 以上のような内容の陳情を、県内の各市町村に提出し、市町村議会からの結果を携え、2024年4月24日に、秋田県庁で記者会見を行いました。

 「全面切替え」に根強い懸念・不安
 記者会見では、25市町村の採択結果が報告されました。採択7、不採択11、継続審査2、審議未了1、審査なし4です。市町村によって事情が異なるため一様ではないものの、10市町村ではしっかり議論がなされ、議員の賛成発言ですぐ採択になったところもあり、全面切替え見直しを求める意見はいまだ根強いことを示していると田口さんは繰り返し述べ、「従来のあきたこまちを植えたいという農家の声を考慮する必要があること」をあらためて訴えました。
 田口さんは、「あきたこまちR」の生産自体を否定するものではないが、消費者と生産者の選択の自由を奪わないでもらいたいということを強調しました。今年の6月以降、JAでは2025年の切替えに向け、種籾の注文が始まります。
JAのライスセンターで籾摺りから精米・出荷までを頼りに生産している農家の選択の自由は、どうなるのでしょうか?(種籾が供給される例外となったのは)大潟村だけです。選択肢を持つことは可能です、が、農家さん自身が“たくさんあつまって”JAを通じて県に種籾を要求する手順を踏まなければなりません。このことを知る農家さんは今のところ、皆無で、農家さんは集まれないのです。手続きを踏める農家さんは皆無です。

 日本中が目を離せない主食の問題
 もうひとつの問題は「表示」
 集荷時は「あきたこまち」と「あきたこまちR」は区別されるものの、その後の流通ではすべて「あきたこまち」と表示するので、お米屋さんの店頭をはじめ、スーパーでも食料品店でも消費者は「あきたこまち」という表示しか目にすることができず、消費者は選ぶことができないようになっています。
 また、「あきたこまちR」のような放射線育種(特に重イオンビーム使用)で開発された品種の種子を使用したお米を「有機生産」の認証(有機JAS検査認証制度)でも農林水産省は認めていることも問題です。「みどりの食料システム戦略」での有機農業推進だけでなく、「オーガニック給食」の内実が揺らいでしまいます。 
 このように、「あきたこまちR」の問題は、生産者や消費者の権利、地域経済や住民生活、そして子どもの未来にも関わる日本中が目を離せない主食の問題なのです。

 根底に「民主主義の危機」
 これだけの県民の意見や行動に基づいた陳情とその結果報告についての記者会見でしたが、県内の新聞やテレビは報じていません。2025年9月の新米から、「あきたこまち」のほとんどが「あきたこまちR」になり、大手の卸問屋を通じて首都圏の人々の口も入っていきます。ご飯だけでなく、せんべいのような米菓、米粉のパン・クッキー、健康志向に人気の麹を使った甘酒などの発酵食品など、お米を使った食品はたくさんあります。 「あきたこまち」は、秋田県産米の実に7割に及びます。1984年に「あきたこまち」と名付けられて40年、品種登録も特許も商標登録もなく、広く開かれたお米として全国各地でつくられ、愛されてきたお米です。それが、その真ん中から崩されていく状態になっています。
 記者会見を開いた田口さんは、この行動の根底には、「民主主義への危機感があった」、「民主主義を守っていけるようにという気持ちが強かった」と話していました。 大手メディアに頼れない時代なのかもしれません。私たちの手で、できることをして子供や孫にも伝え、考え、知恵を絞り、伝えていきたいと感じました。口に入れるものについて、知らされないでお金を払い食べるなんて、あってはならないことが起こっています。
秋田県内では、県職員さんも農家さんも、生産者への視点はあっても、消費者への視点を持っている人は、ほとんどいないようです。その意味でも、生産者・消費者、両方の視点から出された陳情が採択された市町村がたくさんあったことは、意義深いことでした。


*注
請願は、憲法16条で認められた権利であり、地方公共団体の議会に対する請願については地方自治法第99条で定めている。国会、政府、地方議会、都道府県知事、市町村長に対し、それらの行うべき職務について意見を述べ希望を表明する請願をしようとする者は、議員の紹介により請願書を提出することができる。陳情は、国や地方公共団体の職務について希望を表明する点において請願と同様だが、議員の紹介を必要としないことやその処理方法等に違いがある。


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