福祉施設や小学校へのゲノム編集トマト苗配布に反対する署名提出記者会見プレスリリース



福祉施設や小学校へのゲノム編集トマト
「シシリアンルージュハイギャバ」の苗無償配布に反対する
署名提出についての記者会見プレスリリース



 OKシードプロジェクトでは、サナテックシード株式会社/パイオニアエコサイエンス株式会社がゲノム編集されたトマト「シシリアンルージュハイギャバ」の苗を福祉施設や小学校に配布する計画に反対するオンライン署名活動を2021年10月29日から行ってきました。
 2022年1月16日に第一次集約を行い、9195筆を両社、そして全国の都道府県知事、教育長、福祉障がい課宛てに送付いたしました。

 同時に各地域で市町村首長、教育長、自治体担当者に対する働きかけが全国各地で地域の市民団体によって行われています。これらの活動をいっしょに報告すると同時に、この苗の配布の何が問題か、そして自治体の反応はどうなっているか、確認するための記者会見を2022年1月27日にオンラインで開催しました。署名は今後も継続して集めていく予定です。

 この記者会見を通して、このゲノム編集トマトは食品としての安全性の調査、環境に与える影響調査が十分に行われていないこと、福祉施設や小学校に配布された場合に、福祉施設利用者、児童には選択の余地もなく、関わりが強制されること、そしていったん栽培を始めてしまえば花粉などによる交雑などの影響が懸念されることが、改めて確認されました。

 全国で自治体への働きかけが開始されていますが、働きかけた自治体の中で、市民の要請に添ってゲノム編集トマトの苗を受け取らない自治体の割合はかなりあることがわかりました。北海道では179自治体に働きかけ、そのうち42自治体から返答があり、14自治体は苗を受け取らないことを明言し、受け取るとした自治体の数はゼロでした。また北海道のみならず、香川県三木町、静岡県富士市、富士宮市も受け取らないと述べています。熊本でも働きかけた福祉施設は受け取らないと返答しています。これは安全を確認できないものは受け取らないという予防原則に立った対応であり、高く評価できるものです。
 しかし、十分な情報を持たないために判断ができないとする自治体はまだ多数に及んでおり、自治体や関係施設と科学的な根拠に基づくしっかりとした検証に基づいた情報を共有し、予防原則に基づいた対応を求めていく必要があります。

 ゲノム編集農作物の栽培により、花粉の飛散により交雑して、従来の作物に影響を与えることもまた懸念されています。パイオニアエコサイエンス株式会社は交雑したとしても法的に問題ないとして責任ある姿勢を見せていません。交雑による被害を防ぐためにサナテックシード株式会社/パイオニアエコサイエンス株式会社にその栽培に関わる情報の開示を求めても、両社は応じていません。
 また、日本政府は種苗へのゲノム編集の有無の表示義務を認めていないため、知らないうちにゲノム編集作物を栽培してしまう可能性も危惧されています。
 農家も消費者も知る権利、選ぶ権利が奪われてしまうため、早急に表示制度の義務化の確立をわたしたちは求めていきます。そして、ゲノム編集されていない種苗や食品にゲノム編集されていないマークであるOKシードマークを付ける運動を広めることで、知る権利・選ぶ権利を守り、食の安心安全を守る活動を拡げていきます。

2022年1月27日
OKシードプロジェクト
https://okseed.jp/
問い合わせ先

資料の案内
  1. 記者会見要旨…記者会見で話されたことの要点をまとめました(末尾をご覧ください)
  2. 記者会見プレ・プレスリリース…記者会見に向けた基本情報をまとめました。
  3. プレスキット:「ゲノム編集トマトの社会実装は必要なのか」…ゲノム編集トマトについて簡潔にまとめました。
  4. プレスキット:「ゲノム編集にはたくさんの問題があります」 …ゲノム編集がなぜ問題なのか、簡潔にまとめました。
  5. オンライン署名:https://okseed.jp/act/
    6.各地からの報告資料…北海道、熊本、香川、宮城、徳島での取り組みの資料

【記者会見要旨】

天笠啓祐氏(遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表、OKシードプロジェクト顧問)
 このトマトはGABA成分が高いと宣伝されているけれども、それが有効であるか、安全であるか、まったく科学的な裏付けがありません。特に子どもたちや高齢者、障がい者などに影響がないか懸念が残っています。
 開発者である江面氏は安全性を確認したと説明しますが、その確認はごく一部だけに留まっており、全ゲノムのチェックは省略され、実際にゲノム編集トマトを摂取した際の長期影響調査もまったく行われていません。
 またゲノム編集トマトによる交雑の危険性もあります。トマトは自家受粉だから影響ないと言い切ることはできないことが指摘されています。トマトの花粉の寿命は長いので、広範囲に交雑が起きる可能性があります(花粉の寿命は3、4日、風速5メートルとすると、最大1296キロメートル)。
 ゲノム編集は遺伝子を破壊することで生物のバランスを壊すものですが、その破壊のために遺伝子の切断カセットを数千万単位で挿入します。これはまさに遺伝子組み換えそのものです。その破壊ではDNAの二本鎖を破壊しますが、従来の遺伝子組み換えでも放射線照射でもこのようなことは起こりません。その結果、多様な遺伝子を破壊、複雑な生命の仕組みがかき乱され、染色体破砕やエピジェネティックな異常、破壊されたところとされないところのモザイク状態を生み出す、などというこれまでになかった問題が生じる可能性がすでに指摘されています。
 ゲノム編集食品は判定可能です。その操作の情報が公開されれば判別できるし、特許によっても判定可能、そして社会的にトレースすることで明らかにすることも可能です。
 現在は環境影響評価も、食品としての安全審査もない、種苗・食品にも表示がありません。私たちは表示義務を求めていく必要があります。OKシードマークは私たちを守る武器になります。

久田徳二氏(北海道食といのちの会、OKシードプロジェクト運営委員)
 2つニュースがあります。北海道当麻町でゲノム編集されていない従来のシシリアンルージュを年間4トン有機栽培してきた農業生産法人「当麻グリーンライフ」が、交雑がすでに起きた、または今後起きることを否定できないとして、今年からその栽培を全面中止すると決定しました。代表者は「遺伝子操作品種と交雑したら有機トマトとは言えない。苦渋の決断だ。良い品種だったのに残念」と話しています。
 もう1つはゲノム編集トマト苗の配布をとめてほしいという運動の中間集計結果です。北海道の全179市町村に要望書を送付し、回答を求めた結果、1月中旬までに42自治体が回答し、14自治体16部局が「受け取らない」と答えました。「受け取る」とした自治体はゼロでした。受け取らない理由として「安全性が確認されていないこと」等が挙げられています。回答をさらに求めていきます。これまでの回答記述は多様ですが、予防原則に基づいて自主的判断をしている自治体が多いことが分かりました。今後は情報不足の克服が鍵となります。
 情報を伝えれば「受け取らない」判断になるでしょう。知らせていくことが重要です。

國本さとこ氏(くまもとのタネと食を守る会、OKシードプロジェクト運営委員)
 安全性が確かめられていないものを子どもたちに提供することには反対です。熊本がこのゲノム編集トマトの産地になったことをニュースで知って、パイオニアエコサイエンス社に問い合わせをして生産の様子を見学させてほしいと申し入れましたが断られました。熊本はトマト生産が盛んで交雑を心配する声があり、パイオニアエコサイエンス社にも多く問い合わせが寄せられましたが、シンポジウムでも同社は答えないことに驚きました。後日、ウェブサイトに返答が掲載されましたが、交雑しても法的に何も問題ないという趣旨のものでした。
 熊本は有数のトマト産地です。県内には有機JASの生産農家が200戸以上います。パイオニアエコサイエンス社は法的問題がない、で終わらせずに誠意ある対応を求めたいと思います。

中里千恵氏(菊池市の学校給食を考える会、OKシードプロジェクト運営委員)
 菊池市内の福祉施設に受け取らないことを求める要望書と問題を分かりやすく説明した資料を配布しています。配布した2つの施設の方たちからは共感していただき、そうした危険のある苗は受け取らないという返事をいただきました。4月からは小学校に苗を受け取らないことを求める署名運動も開始する予定にしています。多くの方とゲノム編集食品への危機認識を共有していきたいと思います。

佐久間雅子氏(種子を守る会香川、OKシードプロジェクト会員)
 香川で食の安全と種子条例の制定を求めて活動しています。トマト苗の配布には疑問を持ちます。子どもや障がいのある方に提供するのはなぜなのか? トマトの苗を育てるだけで済まずに食べることになるでしょうが、子どもたちで高血圧のケースは少なく、何のためなのか疑問です。会の親の中には自分の子どもの小学校の校長先生と直談判している人もおられます。県内の三木町の教育長は町議会で受け取らないことを明言されました。香川17市町村すべてに要望書を提出する予定です。北海道食といのちの会のやり方にならい、要望書と回答書の2つとOKシードプロジェクトのガイドブック『ゲノム編集ー神話と現実』を提出する予定です。

後藤咲子氏(食べもの変えたいママプロジェクトみやぎ[食べママみやぎ]代表、あいコープみやぎ理事、OKシードプロジェクト運営委員)
 食べママみやぎは米国で遺伝子組み換え食品に反対する活動を行っているゼン・ハニーカットさんとの交流から生まれた団体です。あいコープみやぎは地元の安全な食のためにとり組んでいます。
 あいコープみやぎではOKシードマークを2021年11月から使い始めました。生産者の方とは密にやりとりしてきたので、可能になりました。そして北海道食といのちの会にならって、宮城県内すべての市町村にゲノム編集トマトの苗を受け取らないことを求める要望書・回答書を配布する活動を始めました。3月1日提出をめざして活動しています。
 教材は大人が選ぶもの。子どもには選択の余地がありません。福祉施設のみなさんも同じです。食品としての安全性調査や環境影響調査すらしていないものを受け取らせようというのはあまりに強引です。子どもをまきこまないようにしてほしいです。

堤未果氏 ジャーナリスト
 新しいテクノロジーが出てきた時に、社会がおかしな方向にいかないためには、絶対に必要な3つの要素があります。1つは予防原則、2つめが情報公開。3つめが選択肢です。この3つが絶対に必要だと思っているのですが、特に最近、この食に関してはこの3つが危なくなっています。
 社会的に弱い立場の人から選択肢が奪われていく、こういう流れができてしまうことをとても心配しています。
 今日はマスコミの人たちがたくさん来てくれたことに、すごく希望を感じています。
 選択肢がないと本当に怖い社会になっていくので、今日、こういうことが起こっているということをできるだけ記者の方には伝えていただきたいと思います。

文責 印鑰 智哉(OKシードプロジェクト事務局長)

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