放射線育種について

「あきたこまち」という表示の中身は「あきたこまちR」!?


 秋田県は、2025年産米から従来の「あきたこまち」から「あきたこまちR」に全量切替をするとしています。ところが、消費者が目にする米の袋や広告・宣伝にいたるまで、コメ自体は「あきたこまちR」であるにも拘わらず、その表示は「あきたこまち」とすることに決めました。
 このような表示は、消費者の知る権利、選ぶ権利を侵害するものです。消費者庁が管轄している食品表示法、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)の「不適正」な表示、「虚偽の不当な表示」に当たります。
 速やかな措置をとるよう、このページ末尾にある要望書に発信団体の名を連ねて、消費者庁に要請しましょう。
 詳しくみると、秋田県は、いちおう農産物検査法の下で規格等を決めている「農産物検査に関する基本要領」(農産局長通知)の中の「国内産農産物銘柄設定等」(p.2)に基づき、「品種群設定」を行っています。しかしながら、こうした手続きを踏んだとしても、食品表示法が目的としている「適正な表示」であること、景品表示法が定める不当表示(誤認・虚偽など)に当たらないことが優先されるはずです。

 ちなみに、「品種群設定」とは、「複数の品種を一つの品種群として産地品種銘柄を設定する」ことです。つまり、同じような品種特性をもつ品種をまとめて一つの「銘柄」(呼び名、ブランド名)として流通させる、という意味です。これにより秋田県は、(品種)「あきたこまち」と(品種)「あきたこまちR」の二つを「品種群」として設定し、「秋田県産あきたこまち」という一つの「産地品種銘柄」とすると決めたのです。
 品種群設定ができる要件には、「複数の品種を一つの品種群として産地品種銘柄を設定する場合は、品種特性、品質の観点から、品種群として同一の銘柄とすることが適当であること。」とあります。食味や栽培方法がたとえ「同等」であるとしても、重イオンビーム育種で開発した品種の有する「カドミウム低吸収性」という「特性」の違いこそ大きな違いではないでしょうか。この特性の違いは著しい違いであり、とうてい「あきたこまちR」を従来品種と同じ呼び名の「あきたこまち」という表示で流通させることを認めることはできません。

申込みフォーム 末尾掲載の要望書の発信団体として団体名を連ねていただける団体は次よりお願いします。
https://forms.gle/vnj7cXpswoGFk51YA (Googleフォーム)

お問い合わせ:https://okseed.jp/contact/
呼びかけ団体
 日本有機農業研究会
 OKシードプロジェクト
内閣総理大臣 岸田 文男 殿
消費者庁長官 新井ゆたか殿
公正取引委員会御中
米(コメ)「あきたこまちR」を「あきたこまち」と表示する
不適正で虚偽の不当な表示に対する措置の要請

 米(コメ)は主食であり、その容器・包装・広告等の表示は、消費者の権利、食への権利等にとって重要な役割を果たしています。標記のコメについて、これら消費者の権利等に照らして、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある不適正で虚偽の不当な表示がなされようとしています。具体的には、秋田県が2025年産用から供給する「あきたこまち」の種子(種籾)を従来品種の「あきたこまち」に代わり、品種の異なる「あきたこまちR」(品種名)に全量切替えをすることに伴い、銘柄名で一律「あきたこまち」とする表示です。その表示が行われると、食品表示法第12条の規定する不適正で一般消費者の利益が害されると認められる表示が行われることになるとともに、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)第5条に規定する虚偽で一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある不当な表示が行われることになります。

 このため、そのような不適正で虚偽の不当な表示が行われることのないよう、早急に必要な措置をとられるよう要請します。


不適正で虚偽の不当な表示に当たる「あきたこまち」表示についての説明
 米(コメ)の品種名は、近年の全国各地での品種名によるブランド化により、消費者がコメを選択するめやすとなっています。秋田県が生んだ「あきたこまち」(1984年命名)は人気の高い品種です。

 秋田県は、県の種子事業で行う「あきたこまち」の種子(種籾)の供給を2025年から従来品種の「あきたこまち」(品種名)に代わり、品種の異なる「あきたこまちR」(品種名)に全量切替えをすることに決めました。そのため県供給種子を使うほとんどの農協等のコメは、2025年産米から「あきたこまちR」に変わります。ところが秋田県は、「産地品種銘柄」の名はいずれも「秋田県産あきたこまち」であると決めて、流通段階以降、スーパーなど小売店の店頭でのコメ袋の表示や宣伝・広告に至るまで、「あきたこまちR」という品種名を伏せて、「あきたこまち」という表示をするとしています。

 消費者はそうした「あきたこまち」という表示を見て、従来どおりの品種「あきたこまち」であると思って購入しますが、実際には著しく異なる品種である「あきたこまちR」を買わされることになります。

 次にみるように、「あきたこまちR」は、多くの問題を含んだ著しく異なる品種であることは明らかです。消費者は食味だけでコメを選ぶのではないのです。とりわけこれまでどおりの秋田県産「あきたこまち」を食べ続けたいと思う消費者にとって、このような「あきたこまち」の表示は不適正で虚偽の不当な表示に当たると考えます。

  1. 「あきたこまちR」は、重イオンビームを使用した放射線育種技術により開発した「コシヒカリ環1号」の交配種であり、カドミウム低吸収性という著しく異なる特性を有する品種である。重イオンビーム育種は、遺伝子(DNA)の二本鎖を一挙に切断するのでゲノム編集技術と類似しており、遺伝子への作用が大きい。遺伝子配列の変化に伴うコメの安全性は確証されていない。

  2. 「あきたこまちR」は、「マンガン」の吸収も低下させ、イネではゴマ葉枯病が出やすくなることがわかっている。ヒトにとってマンガンは栄養学でいう必須微量元素である。マンガンを含む微量元素についての「あきたこまちR」の分析結果の公表はなく、健康影響評価に関わる試験研究も行われていない。

  3. 「あきたこまちR」は、自家採種が禁止されており、毎年更新(タネの購入)しなければならない品種である。農家経営の負担になりかねない。それはコメの小売価格(消費者価格)にも影響を及ぼす。

 以上のように、コメの容器・包装、広告等に、従来の品種名と同じ「あきたこまち」と表示しながら、その中のコメの実態は品種が著しく異なり、消費者が看過できない多くの問題を含む「あきたこまちR」となります。
 そのような表示は法律上、食品表示法では第12条の規定する不適正で一般消費者の利益が害されると認められる表示であり、同時に、景品表示法では第5条に規定する虚偽で一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある不当な表示に該当することになり、明らかに、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害する表示となります。また、そうした事態は、消費者の権利を定めた消費者基本法に照らしても、消費者の権利を損なうものです。したがって、こうした事態を未然に防ぐために、早急に必要な措置をとられるよう要請します。

以上


  2024年  月  日

50音順(2024年4月29日現在)
NPO法人 赤とんぼ
秋田県有機農業推進協議会
「あきたこまちR」をみんなで考える会
秋田ミネラルオーガニック給食をすすめる会
NPO法人 アクシス委員会連合
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
遺伝子操作食品を考える中部の会
愛媛有機農産生活協同組合
OKシードプロジェクト
海陽町オーガニックス
関西よつ葉連絡会
北九州オーガニックプロジェクト
NPO法人 熊本県有機農業研究会
こうち食と農をまもる連絡会
香南市オーガニック給食をすすめる会
生活協同組合コープ自然派おおさか
生活協同組合コープ自然派京都
生活協同組合連合会コープ自然派事業連合
生活協同組合コープ自然派しこく
生活協同組合コープ自然派奈良
生活協働組合コープ自然派兵庫
市民ネットワーク千葉県
食政策センター・ビジョン21
食と環境の未来ネット
NPO法人 食と農の未来をつくるネットワーク
食と農を守る会徳島
公益社団法人 全国愛農会
全日本農民組合連合会
使い捨て時代を考える会
NPO法人 日本消費者連盟
(有)日本の稲作を守る会
NPO法人 日本有機農業研究会
農民運動全国連合会
バイオダイバーシティ・インフォメーション・ボックス
NPO法人 兵庫県有機農業研究会HOAS
NPO法人 みやざき有機農業協会
NPO法人 民間稲作研究所
NPO法人 メダカのがっこう
NPO法人 有機農業推進協会
NPO法人 和歌山有機認証協会


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