2023年という正念場の年を迎えました

 2023年が始まりました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 2021年7月20日に開始したOKシードプロジェクトはおかげさまで、160を超える方たちにOKシードマークの使用申請をいただき、北海道から沖縄まで使っていただいております。そして、このプロジェクトはみなさんからの寄付で運営されており、メールニュースも1万人を超す方に届けさせていただいております。ご支援をどうもありがとうございます。

 今年はOKシードプロジェクトにとって正念場とならざるをえません。というのも、現在、バイオテクノロジーを食料生産に活用する動きが加速しているからです。従来の食のあり方とは異なり、細胞を培養して作る培養食などが急速に進められようとしています。しかし、それが健康や環境に、さらには社会にどんな影響を与えるか、十分な検討は行われていません。

 そして、今年は4月以降、食品表示法の基準が変わって、スーパーなどで「遺伝子組換えでない」という表示がほとんどなくなります。遺伝子組み換え食品は世界で敬遠されているにも関わらず、日本ではそれを避ける手段がなくなろうとしているのです。

 特に「ゲノム編集」食品は現在、表示義務が一切ありません。政府や推進企業は「ゲノム編集は自然の変異と同じ」と繰り返しますが、科学的な研究からは遺伝子大量欠損や染色体破砕などといった自然では起きない異常な現象が起きていることが報告されており、これまで自然界に存在していないタンパクが作り出される可能性は否定できないのです。それが環境や健康に与える影響が懸念されますが、それでも自然と変わらないとして安全実験すら行わずに生産が始まっています。しかも、その食品を流通させているのは現在、日本だけです(ただし現在の流通経路はオンライン販売とふるさと納税のとらふぐ、時期限定のフェアやイベントに限られています)。

 「ゲノム編集」魚を作るリージョナルフィッシュ株式会社は昨年9月に事業規模を大幅に拡大させ、稚魚とスマート養殖施設を全国各地の養殖パートナーに売る事業計画を明らかにしています。しかし、肉付きがいいという「ゲノム編集」マダイは骨の成長に、1.9倍のスピードで大きくなるという「ゲノム編集」トラフグは肝臓に問題を来し、それは「拷問養殖だ」として海外の団体からは批判されているのに、そうした問題を日本のマスメディアは報道していません。天橋立で有名な美しい海岸線と棚田を持つ宮津市にリージョナルフィッシュ社は養殖場を作っていますが、その環境に与える影響に関わる情報は市民の要求にも関わらず開示されていません。にも関わらず宮津市や京都府はリージョナルフィッシュ社を支援しています。さらにリージョナルフィッシュ社は日本全国だけでなく、インドネシアなどの東南アジアに進出することも発表しています。インドネシアでは「ゲノム編集」食品は認められていないにも関わらず、進出を決めるというのはいったいどんなものでしょうか?(OKシードプロジェクトでは2月10日にこの問題についてサポーターを対象とした無料の学習会を企画しています。詳細

 また今年の4月から「ゲノム編集」トマトの苗を小学校に配布し、小学校で栽培させる計画が2021年9月に明らかになりました。小学校で安全性の確認されていないトマトは受け取らないでほしい、という声が全国各地の市民から上がり、地域の自治体に要望書が出され、160を超す自治体が受け取らないと返答しています。詳細

 しかし、一方で、こうしたバイオテクノロジー企業を誘致する地方自治体があちこちで出てきました。政府が補助金を出して、地方自治体の動きをプッシュしているからです。多くの人が食べたくないと思っている「ゲノム編集」食品を地方自治体が推進する、というのはかつて住民の多くが反対していた原発を地方自治体が補助金目当てに受け入れてしまった歴史と重なってみえます。反対する人が多くても、そうした企業が誘致されるとそこで働く人とその他の住民で地域の中に分断が作られてしまいます。

 学校では「ゲノム編集」を画期的な品種改良技術であるとして教えるカリキュラムが政府の予算で作られ、無料配布されています。そこでは「ゲノム編集」がもたらす可能性のある危険は教えられません。このままでは日本社会の未来はどうなってしまうでしょう?

 しかし、私たちは確実な解決策を持っています。有機農業・アグロエコロジーは世界の食の問題を解決するだけでなく、環境、健康、社会に大きく貢献することが国連でも認められ、現在、世界で急速に大きくなっています。そして昨年来、日本でも全国各地で有機の学校給食を求める声がかつてないほど大きくなりました。

 かつての遺伝子組み換え技術も「ゲノム編集」技術も特許料によって大きな企業の利益に吸い上げられていきます。そして人びとがほしい安全な食品はいまだに作られていません。そんな脇道に逸れることなく、今、世界のさまざまな問題を解決することができる、この確実な有機農業・アグロエコロジーを進めることこそ、進むべき道ではないでしょうか?

 OKシードプロジェクトではまず何より、市民が、農家が、「ゲノム編集」されていないタネや食品を選べるように、OKシードマークをつける運動を今年も進めていきます。
 そのために知るべきさまざまな学習会などを開催していく予定です。

 今年もOKシードプロジェクトの活動にご参加、ご支援、よろしくお願いいたします。


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